寝たきり老人を介護する者は平成10年の統計で女性が85%といいます。寝たきり老人への介護は、老人の病気の内容や状態をよく把握した上で、手は出しすぎず、目は離さずが基本といわれます。ねたきり老人特有の「過度の安静」によって身体の機能の衰えを引き起こす生活から脱却していきたいものです。
「静かに寝かせておく」、「手を貸し過ぎること」が正しい介護と思い、そのように対処していると、病人はますます自分では何も出来ない身体になっていきます。いったん寝たきりになった場合には、日常生活をするための動作でさえ回復させることはむずかしいことになっていきます。そうならないために、現状の機能を維持し、より回復へ向けての介護を望みたいものです。
寝たきりになった時に気をつけることに、「とこずれ」があります。頭の後ろ、お尻の後ろ、腰の横、かかとなど、寝た状態で圧迫を受けやすい部位が出来やすくなっています。そのため、時々マッサージや寝返り、その部位を清潔にするなどの手助けが必要です。
食事をするための動作として、まず仰向けになった姿勢から座位(座いす・背もたれなどを使用)への移行をしたいものです。さらに状態がよければ、ベッドから車椅子ヘ、そして食事の場を寝室から食堂へと拡大していきたいものです。
またスプーン、食器はその人に合った器具を使うことも必要です。飲み下すことがむずかしい場合にはミキサー食、刻み食などが必要です。楽呑み、コップ、ストローは、いつも病人の手の届く所に置きたいものです。
寝たきりの方の寝衣は、1日2回交換したいものです。交換することにより身体を動かし、清潔な状態になれば、少しは気持ちの切り替えになると思います。
こうして車椅子への移行も可能になれば、身だしなみや整髪などへの配慮も出てきます。また、寝衣も自分で着脱できる改良衣を用意したり、色も明るい色を選びたいものです。