家族は病人の排便や排尿が順調にいくように手助する必要があります。ただし、排泄は出来れば家族の助けをかりずに行ないたいものですので、援助するときには、病人のプライドに配慮することが大切です。
排尿が順調にいくように、飲み物などを工夫します。一日にコップ5、6杯の水分が目安ですので、みそ汁やジュースや牛乳、お茶などで水分の合計量が、そのくらいになればよいでしょう。
誰もができる限り自分でトイレに行きたいと考えています。
トイレが遠いと歩くのは大変ですし、一般の家庭内では歩行器や車椅子を使うのも、狭かったりしてむずかしいことがあります。尿意がある場合には、トイレまで介助して、トイレでは自力でしてもらいます。トイレの手すりは付けた方が安心。
ガンの終末期には、骨折しやすい状態になっている場合があるので、すべって転んだりしないように廊下には絨毯を敷くなどの配慮が必要です。
便器やしびん、尿器、オムツの使用などで、介護の人の手を借りなければならなくなります。オムツの交換や便器をあてるときなどは相手に気がねをさせないように、気さくに手早く行いたいものです。また座ることができる人には、ポータブルトイレが使えます。
直接肌にふれる便器は事前に暖めるとか、最初から紙を敷いておくと、後始末がしやすいことが考えられます。また、男性の場合は、寝たままでも尿器を使って自分で排尿しやすいので、なるべく自分でできるように用意してあげましょう。
おむつは不潔になりやすく、むれやすいものです。長く使用しますと尿意・便意の喪失につながっていきます。
心理的にも自信を失うなどのマイナスの影響が考えられます。出来るかぎりおむつをはずせるような援助や失禁パンツなどの活用を考えたいものです。
(資料/季羽倭文子著 「ガン告知を受けた家族の本」 池田書店
介護技術研究同好会編 「基礎介護技術」 他)