娘達へ 神様へ 皆様へ

[千葉県 女性 主婦 32歳]

イラスト  葬式はいらない、人にも知らせずにおけ、とおっしゃる方も多い。私が思うに、そうおっしゃる方は、交友範囲が広く、人徳も業績も広く、世間に知られている方だろう。葬式は故人の価値を高め、人に知らしむ役割があるから、皆に広く人徳を知られている人はあえて葬式をしなくていいのだ。
 私はただの主婦だから、やはり葬式はやってもらいたい。しかし結婚式と同じ感覚で明るくやるのだ。結婚式では2人の経歴・性格などわかりやすく紹介するが、葬式は故人の人生観や価値観を広く、友人知人子孫に伝える絶好のチャンスだ。
 私の場合、3通の手紙を声のよい友人に朗読してもらいたい。1通は、現在娘達にと書きためている「娘達への手紙」の抜粋。2通目は、哀しいこと切ないこと嬉しいことを書き留めた、「神様への手紙」の抜粋。3通目は、「皆様への手紙」。
 これらを読み上げてもらい、私の「心」を知っていただいてから、列席者のインタビューを行う。故人(私)の感想やエピソード、朗読をきいての感想を自由に述べてもらい、それを録音し(録音は朗読の際も行う)、子孫に伝えていく。
 このバブルの社会にあって、明日へと確かに伝えていくものは、決して財産や形見ではないのだ。最後に残るのは一人ひとりの思いであり、「心」である。葬儀という最後のチャンスこそ、しっかりと故人の心を皆に伝えるべきだと思う。
 おっちょこちょいの私だから、エピソードにも笑える話が多い。そんなエピソードを、列席者みんなに知ってもらい、明るい葬儀にしたいと思っている。
 式場には私の好きな音楽を流してもらい、「朗読と対話のコンサート」といった雰囲気にできたら最高だ。
 私の心が、しっかりと皆の心に染み透り、私の体は死んでも心は永遠に伝えられていってほしい。私の心を私の手紙が語り、私へのメッセージ、感想を列席者が語る。最高の対話ではないか。


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