逆さごと

<現 状>

葬儀に関係するものごとでは、通常の逆に行なう「逆さごと」というものが行なわれています。
例えば死者の衣装(帷子)を左前に着せる。枕元に屏風をひっくり返して立てる「逆さ屏風」。
水にお湯を注いでぬるくする「逆さ水」。死者のふとんを天地逆さにする「逆さ布団」といった作法が残されています。

●いわれ

死という異常事態に対処するために、古来よりさまざまな工夫がなされてきました。
それは死を生者の領域から隔絶させるための演出というべきもので、それが「逆さ事」という形であらわされました。
また死者の世界はこの世とは「あべこべ」になっていると考えられ、例えばこちらの昼が向こうでは夜ということは多くの民族で信じられていました。
そこで、かつて葬儀が夜行なわれたのも、死者が向こうに渡るのに、明るいのがよいというので、こちらでの夜に葬儀を執り行なったといいます。

●逆さごとの風習

棺時に足袋を右左逆にはかせたり、洋服の裾を顔の方に、着物の襟を足元に掛けるという「逆さ着物」は、最近でもよく行われている風習です。

◎逆さ水
水にお湯を注いでぬるくします。湯灌(ゆかん)の際などに行います。
◎逆さ屏風
屏風の絵柄を天地逆にして枕元に立てかけます。
◎縦結び
こま結びを縦に結んだもの。普通は横に結ぶことの逆をします。

◎左前
相手から見て左の衽(おくみ)を上にして着物を着せます(普通は右前)。

◎逆さ着物
亡くなった人の衣装をさかさまにしてかぶせます。襟を足のほうにして着せるので、逆さ着物といいます。

 

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