天台宗の式次第

天台宗は伝教大師最澄(766〜822)が宗祖で、よりどころとする経典は『法華経』です。ご本尊は釈迦牟尼仏。総本山は比叡山延暦寺。天台宗は顕教(けんぎょう)と密教の儀礼を併用しています。葬式には、『法華経』を読み、懺悔し、罪を滅し善を生かすもの。『阿弥陀経』を読み、極楽往生に導くもの。光明真言によって罪を滅するものがあります。何れの場合にも、故人を仏の世界へ導く引導作法が行なわれます。(なお地域によって式次第が異なったり、省略される場合がございます)

一般の仏式葬儀式次第

一般に行われる仏式葬儀の場合、「読経」という部分でその宗派独自の経典読経、および作法が実施されます。式次第に「読経」部分の細目が記されない場合には、仏式に共通した式次第が使用されることがあります。

式の特色

『阿弥陀経』を中心とした葬送作法は、剃度(ていど)式、誦経(ずきょう)式、引導(いんどう)式、行列式、三昧(ざんまい)式の5つからなります。
「剃度式」とは髪を剃り仏教に入信することで、出家した印として髪を剃り、僧に必要な戒律を授けることを意味します。
「誦経式」では、『阿弥陀経』を唱え、その功徳(くどく)によって悟りに至ることを祈願します。「引導式」とは光明供を中心に死者に法語を与え、涅槃の世界に行くことを教え諭します。
「行列式」は死者が西方の極楽浄土に向いて進んで行く象徴です。
最後の「三昧」は心が安定した境地に入ることをいいますが、法華経を唱えて三昧になることを目的に行います。

葬儀式次第(例1)

1.臨終誦経(りんじゅうじゅきょう)

枕経・阿弥陀経

2.通夜誦経

例時作法
剃髪式、授要文、授円頓戒、位牌開眼式

3.授戒(じゅかい)式

故人に天台宗の戒律を授け、戒名を与える儀式です。

4.葬儀式

(1) 入式場   式僧が入場します。
(2) 列 讃   仏の臨終を讃える意味で、如来の四智を梵語によって讃えます。
(3) 導師登盤    
(4) 光明供修法   阿弥陀如来の来迎を得て、故人を仏とする作法を行います。
(5) 九条錫杖   杖を振って声明を唱えます。
(6) 随法回向   法界に供養回向します。
(7) 列讃    
(8) 鎖龕(さがん)・
起龕(きがん)
  棺の蓋を閉ざす儀式と、棺を起こす意味の儀式を行います。
(9) 奠湯(てんとう)・
奠茶(てんちゃ)
  茶湯器を供えて、文を呈します。
(10) 歎徳   故人の生前の業績を讃えます。
(11) 引導・
下炬(あこ)文
  導師は手に松明をもって空中に梵字と円を描きます。そして故人の徳の高さを讃える文を唱えます。
(12) 弔辞拝受    
(13) 弔電奉読    
(14) 法施   経文を回向します。
(15) 念仏または
光明真言
  光明真言は「オンアボキャ ビロシャナ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」と唱えます。
(16) 総回向    
(17) 導師衆僧退場    
(18) 出棺    

/以上

5.告別式

(1) 衆僧入場
(2) 開式の辞
(3) 列讃
(4) 鐃(にょう)はち三匝
(5) 阿弥陀経
(6) 観音経
(7) 鐃鈑打流し
(8) 衆僧退場
(9) 親戚代表挨拶
(10) 閉会の辞

/以上

 

式次第(例2)

1.葬儀式

(1) 一同着席
(2) 奏楽(そうがく)
(3) 導師衆僧入場
(4) 開式の辞
(5) 列讃(れっさん)
(6) 鐃(にょう)はち三匝(さそう)
(7) 表白(ひょうはく)
(8) 剃髪偈(ていはつげ)・ 懺悔(ざんげ)文・三帰戒
(9) 引導
(10) 炬下(あこ)文
(11) 弔辞拝受
(12) 弔電奉読
(13) 観音経
(14) 指名焼香、参列者焼香
(15) 鐃(にょう)はち打流し
(16) 導師衆僧退場
(17) 葬儀委員長挨拶
(18) 閉会の辞

2.告別式

(1) 衆僧入場
(2) 開式の辞
(3) 列讃
(4) 鐃(にょう)はち三匝
(5) 阿弥陀経
(6) 観音経
(7) 鐃鈑打流し
(8) 衆僧退場
(9) 親戚代表挨拶
(10) 閉会の辞

/以上

 

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