1998.12
現代葬儀用語(2)

●全国高齢者名簿

 厚生省は、98年9月9日に、「全国高齢者名簿(長寿番付)」を発表した。それによると、9月30日までに100歳以上になる長寿者は、女性6,921人、男性1,570人の合計8,461人で、女性が約8割を占めている。100歳以上のお年寄りが1,000人を超えたのは昭和56年(1981年)で16年で約8倍になり、昨年より、1,000人以上増加し、過去最高となった。今年中に100歳を超える人は、男性967人、女性3,987人で合計4,954人。

●臓器移植法

 97年10月に臓器移植法が施行された。臓器提供への承諾が必要な家族の範囲や、本人意思確認の手順などを示した厚生省の「臓器移植法の運用に関するガイドライン」によると、臓器提供の意思表示は15歳以上。 臓器提供を承諾する遺族の範囲は配偶者と子、父母、孫、祖父母の直系2親等以内の親族および同居の親族とし、喪主が総意をまとめるのが適当。死亡時刻は2回目の脳死判定終了時とする。検視が必要な脳死者は捜査機関の手続きが終わった後でなければ臓器を摘出してはならない…などとある。

●葬儀会館

 雑誌『フューネラル・ビジネス』96年12月に、全国の葬儀会館分布と、葬儀会館あたりの死者数が紹介されている。それによると、全国の会館数は1,627カ所で、平成6年(1994)の死亡数875,933人を会館数で割ると、年間1会館あたり538人の死亡者となる。九州地区では葬儀会館数が409カ所、死亡数が111,712人であるから、1会館あたり273人でもっとも会館が普及している地域となる。
  アメリカでは自宅で葬儀をせず、多くが葬儀会館(funeral home)か教会、霊園で行う。葬儀会館数は23,000カ所、1994年の死亡人口は2,286,000人であるから、1会館あたり死者99.3人となり、アメリカの葬儀会館は日本の5倍以上の普及率ということになる。ただし日本のように会葬者が100人ということはなく、身内と親しい友人が参列する程度であるから、日本の様なビル形式でなく、文字通り1階建てのホームが多い。

●葬儀音楽

 葬儀には故人が好きだった名曲を流すことが多いが、イギリスのコープ葬儀社の調査によると、1位がダイアナ元王妃の葬儀にエルトン・ジョンが歌った「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」、2位がティナ・ターナーの「シンプリィ・ザ・ベスト」、3位がシナトラの「マイ・ウェイ」となっている。葬儀用の音楽CDを扱うコンフォート・ミュージック社(アメリカ、カルフォルニア州)は、葬儀音楽CD1,000枚目を販売した。著作権フリーの音楽が多く集録されている点が人気の秘密である。公の場所で音楽を流す場合、音楽の著作権料を支払わなければならないが、そうした手間がはぶけるという。

●葬儀業者

 葬儀専門誌「SOGI」によると、98年現在、葬儀業者の数は、専門業者が約4,500、互助会が約360、農協が約900、その他約40で、計約5,800という。企業としての体裁を整えていないものを除けば、約4,500業者で約90万件の市場を分けあっている。

●葬儀単価

 『ニッポン人のお葬式観』によると、葬儀単価が低下すると予測される要因には、次の3点が考えられるという。1.家族機能や地域共同体機能の質が変化し、葬儀や死の場面で外部サービスに頼る場面が増加し、サービスの質と値段を意識し始めている。2.葬儀費用には地方によって、「飲食接待費」や「寺院費用」がかさみ、合計した葬儀費用が高くなっている。そこで、交際費を押えた、規模の小さい葬儀を望む意識が潜在的にあると推測される。3.若い世代になるほど、自分の葬儀を経済的なことを中心に、自分で決めておきたいと考える人が増加している。「葬儀無用」と考える人の増加と考え合わせると、葬儀単価はかなり下がると推測されるとの見方をしている。

●葬祭受注システム

 葬儀に関する情報をトータルで管理する「葬祭受注システム」。外回りの社員が、携帯情報端末を持参し、葬儀見積書を顧客の前で提案する。これにより「会社に戻って作成していた」という葬儀見積書の作成、葬儀日程表、会葬礼状の文面などもその場で印刷でき、スピーディーな対応が可能になる。

●葬祭ディレクター技能審査

 葬祭業界に働く人々が必要とする知識と技能のレベルを審査し、証明する制度で、平成8年3月に労働大臣の認定を受けた。葬祭業界に働く人々の技能の向上を図ることと経済的、社会的地位の向上を図ることを目的としている。実施団体は、「葬祭ディレクター技能審査協会」で、葬祭業界に働く人々の技能振興を目的とし、営利を目的としない団体として平成8年に発足。第3回葬祭ディレクター技能審査試験は、平成10年9月9日に行われた。

●葬送管理規定

 日本には葬儀に関する規定として、埋火葬法があるが、中国では自然保護や土地の有効活用の見地から葬送管理規定を決めている。
○封建的、迷信的な喪葬習俗を除去し、消耗する資源と費用の節約を図る。
○人口密集地、平地、交通便利な地区は火葬。それ以外は土葬を許すが、改革を義務付ける。
○火葬推進地区の人民政府(自治体)は、葬儀・火葬・納骨場がセットになった殯儀(ひんぎ)館を地方基本建設計画で整備する。
○土葬用地は計画的に指定し、村、集落単位で荒地などに深く埋め、表面を平らにする共葬とする。
○少数民族の習俗は尊重し、台湾などの同胞が故国に帰り大陸で葬られる場合も特例とする。
などがある。

●葬送の自由

 既存の葬儀形態にとらわれずに自由な葬儀を行うというより、お墓のない人に「散骨」を勧める運動。「葬送の自由をすすめる会」によって91年10月5日、神奈川県・三浦半島沖約22キロの相模灘のヨット上で遺灰がまかれた。式典は、追悼の挨拶のあと、花輪をつけた遺灰の袋を海に流し、ワインと清酒を注いで、鐘を鳴らし1分間の黙祷を行う。法務省は「遺骨遺棄罪は宗教的感情を保護する狙い。死者を弔う目的がわかる相当の方法であれば、遺棄罪に当たらない」とのこと。同会は94年5月、山梨県小菅村の公有林に散骨をしたが、小菅村はじめ4市町村では、東京都に散骨の中止を申し入れた。

●相談コーナー

 葬儀や仏事にいくらかかるのか知りたいなどの要望が多くなったことから、葬祭業社のなかには、デパートなどの一角で「葬儀・仏事相談コーナー」を行っているところがある。買物ついでに気軽に相談できるのが魅力。専門スタッフが常駐し、葬儀・仏事に関する費用も見積もってくれる。

●ダイオキシン調査

 ごみ焼却場から出るダイオキシンが問題となっているが、厚生省は98年度、火葬場から出るダイオキシンについて実態調査することを決めた。全国の火葬場数は8,481(1996年現在)。遺体を焼いた煙を燃やす再燃焼炉内の温度は300度から950度だったが、850度以上の施設では、濃度は低かった。ダイオキシンは800度以上の高温で連続燃焼すれば抑えることができるとされている。しかし火葬場では、1,000度以上の高温で燃焼すると、骨が残らない状態になりかねないので、800度程度で燃焼させているという。

●ダイレクト・クリメーション(直接火葬)

 アメリカでは1970年中ころより火葬が増えてきた。火葬の多くは葬儀をしない形式である。1990年の調査では、火葬した人の45%が伝統的な葬儀を行っているが、32%が親族だけでの儀礼、3%がその他の儀式を行い、17%は式をまったく行わない。これをダイレクト・クリメーションと呼んでいる。火葬と遺灰処理の関係を大きく分けると、(1)火葬したあとに、伝統的儀礼をし、遺灰を埋めたあと墓碑を立てたもの。(2)火葬し、葬儀も墓もなく散骨を行うもの、がある。

●段ボール棺

 「高価な木製の棺を火葬するのはもったいない」として、段ボールの棺が輸入されている。段ボールといっても耐水性があり、布などで装飾されている。木製と比べ軽く、森林資源の有効利用という利点もあるという。段ボール棺は国内では大災害時用に備蓄されている程度で、一般の葬儀ではあまり利用されていない。

●DNA検査

 イブ・モンタンの実子かどうかのDNA鑑定が話題となったが、日本でも親子鑑定などにDNA鑑定が用いられているという。この数は年間200〜300件で、主に大学の法医学教室などで行われている。また航空機事故などで身元確認の手段としても用いられる。東京家庭裁判所の資料によると、平成7年度の親子関係事件は244件、うちDNA鑑定によって鑑定したケースは28件である。鑑定費用は大学で20万円台、民間で25万円台という。なお鑑定に要する期間は70日という。

●デスケア産業

 アメリカでは葬儀業界と霊園業界との垣根が取れ始め、この両方をひっくるめてデスケア産業とよんでいる。そのため葬祭デレクターも、葬儀だけを知っていればよい時代は終わった。シンシナティ州技術コミュニティカレッジの葬儀科学学科では、新らしく霊園管理が加わった。科目には、霊園法、霊園経営、風景学、コンピュータ、保険、悲嘆心理学などなどが盛り込まれている。死に関する業者やサービス会社が一同に集う、「デスケア・ワールドエキスポ」の最初の催しは、97年3月にラスベガスのバリーズ・カシーノ・リゾートで開催された。出展企業は霊園、アフターケア・コンサルタント・サービス、生花、棺、プレニードサービスなど多彩。毎年行われるようになる。

●電脳墓

 インターネット上につくられたバーチャル(仮想)墓地。アメリカなどもあるが、97年に日本にも登場。パソコン画面上で、故人の経歴を見たり、墓参りをするというもの。電脳墓には、個人がホームぺージを開いて個人墓を募集しているケースと、寺院や民間会社などが霊園を開設しているものとがある。対象者は、墓のない人や、遠隔地にある故郷の墓の管理や墓参りに困っている人がどこからでもお墓参りができるのが特徴。電脳墓『バーチャル霊園』 (http://www.kanjizai.com/cenotaph/index/index.html)を提供している広島の観音院では、設置数15,000墓を超えたという。なかでも海外に住む日系人・在外邦人からの申し込みが約2割を占める。

●電話相談

 葬式や年回忌の供養の仕方などの問い合わせに、電話で無料相談する寺院はいくつかある。「日蓮宗京都府第1部宗務所」が開設した電話相談は、京都市内の日蓮宗の寺約180カ寺が加わる同宗務所・社会教化事業協会が、市民教化事業の一環として始めた。都市化などで檀家と寺との交流が疎遠になる傾向もあり、それを補う意味もあるという。

●友引

 「友引」には、葬式を忌む俗信があるため、「友引」の日を休業日としている火葬場が多い。読売新聞の98年5月に発表した調査では、縁起や迷信で気にするものに、「仏滅の日の結婚式」39%、「友引の日の葬式」36%、「厄年」35%、「北まくら」26%、「葬式帰りのお清め」24%など。しかし友引の日のタブー意識は年々低下し、いずれ薄れるのではと見ている。そうした状況から、友引休業をあえて返上した自治体として、1987年の福岡市の葬祭場が早く、今は第2、第4日曜日が休業。日本環境斎苑協会が95年の調べでは、全国約1,600の公営火葬場のうち、友引に営業して日曜日を休みにしているのは74カ所である。また浄土真宗には、友引休業の中止を自治体に働きかける教区もある。

●乳幼児突然死症候群

 元気な赤ちやんが突然死んでしまう原因不明の病気、乳幼児突然死症候群(SIDS)について、厚生省の研究班は、初の全国調査を行った。厚生省の人口動態統計によると、平成7年の国内におけるこの死者は579人。

●普通死亡率

 普通死亡率(人口千人当たりの死亡数)は平成8(1996)年の7.2%から一貫して上昇を続け、平成32(2020)年には12.7%、平成62(2050)年には16.7%に達する。死亡者数は平成8(1996)年の91万人から一貫して増加を続け、平成37(2025)年の166万人を経て、平成48(2036)年にはピークの176万人に達する。その後、やや減少して平成62(2050)年には166万人となる。

●ペット埋葬ツアー

 ペット事業も多彩となった。近畿日本ツーリストグループのホリデイツアーズ中部事業本部(名古屋市)は、豪ペット専用墓地への埋葬・墓参ツアー「オーストラリア・センチメンタルジャーニー」を企画した。埋葬は、遺髪、遺品、写真のほか、火葬後の遺骨を葬る。墓は壁穴式と石碑式が選択でき、現地で墓地業者と契約する。

●ペット墓石

 ペット葬儀関連のビジネスも定着したが、ペット用の墓石が売り出されている。「メモリアルプレート」と名付けられたペット墓石は、天然黒御影石製で高さ30センチ、幅17センチ、厚さ6センチ、重さ約4キロ。ペットの肖像、名前、命日、飼い主からのメッセージなどを表面に彫り込むことができる。

●法宴

 有名ホテルが考案した、新しい社葬のかたちで、「ホテルにおけるお別れの会」の名称。「法宴」は、社葬の一切をホテルのスタッフが丸ごと対応することで、遺族、係員から弔問客まで、参列者すべてのホスピタリティーを最重視し、故人に最もふさわしいお別れをプロデュースしようというもの。遺体や遺骨は持ち込めないため、代わりに遺影のまわりを花で飾り、その前に献花をする形式になる。

●ホームページ

 インターネットに自社のホームページを開設している葬儀社、互助会が増えている。全葬連のホームページは(http://www.zensoren.or.jp/)全日本冠婚葬祭互助協会のホームページは(http://www.cjn.or.jp/gojokai/)。

●保険金即日支払いサービス

 リビング・ニーズ特約を日本で初めて導入したプルデンシャル生命では、簡単な手続きだけで最高300万円までの死亡保険金を即日お支払いする「保険金即日支払いサービス」の取扱いを開始した。家族の死の中で、医療費やお葬式代などすぐに高額の支払いが必要とされるものがある。「保険金即日支払いサーピス」は、このような時に、最短では即日死亡診断書のコピーと簡単な請求書に記入するだけで最高300万円まですぐに支払われるサービス。

●ホスピス

 ホスピスケアは、末期患者とその家族を、在宅や入院などの体制の中で、痛みや悩みを軽減していくとともに、患者の意向に沿ったケアを提供していくものである。したがって、ホスピスとは基本的にケアの方法を指すが、ケアのための特定の施設を意味することが多い。日本のホスピス第1号は1981年の聖隷三方原病院の院内病棟である。それから10年後のホスピス数は20。現在約40のホスピスができているが、在宅ホスピスは「しない」「検討中」というホスピスも多いというのが現状。

●墓石ビジネス

 高齢社会が継続するなかで、墓石ビジネスは安定していくものと考えられる。茨城・真壁、愛知・岡崎、福岡・太宰府などで石材産地を中心に、〃墓石ショールーム〃が作られている。墓石の6割は中国や韓国などの輸入品である。96年1年間に海外から輸入した墓石は完成品が90万トン、原石50万トンで合計140万トン。国産墓石は約90万トンである。

●墓地に関する意識調査

 98年2月、厚生省の委託で「墓地に関する意識調査」が行われた。その結果、「墓地の高騰」「墓地不足」をあげる人々が多い。「東京都区部」では「墓地の承継者がいないこと」(34.4%)を問題とする人が多い。全国レベルでも、「墓地の高騰」(43.7%)「墓地の不足」(34.2%)「お墓に誰と一緒に入るか」(10.1%)「散骨」(9.3%)と、墓地問題は多様化してきた。今回の調査では、自分が入るお墓の承継者が決まっていると回答したものは51.2%であった。

●ホテル葬

 ホテル葬儀は、ホテル側が線香や喪服着用を好ましく思わないため、基本的に宗教色のない「お別れ会」の形式が多い。「お別れ会」にふさわしい荘厳さで故人の冥福を祈るとともに、親交のあった方々の語らいの場を提供する」というもの。(1)ホテル館内の表示は「偲ぶ会」「お別れ会」等の表現にする、(2)祭壇を設ける場合は花祭壇などにする、(3)遺影は当然よいが、遺体の安置はしない、(4)読経、焼香は遠慮してもらい、献花とする、(5)参列者・主催者ともに平服を勧めている。などの特徴がある。

●密葬

 密葬は、都会でははっきりした流れになっている。密葬が広がるきっかけになったのは、1992年5月に死去した漫画家長谷川町子さんのケース。さらに一昨年8月、相次いで亡くなった俳優の渥美清さん、女優の沢村貞子さんらはいずれも死を公表せず、代わりに「偲(しの)ぶ会」「お別れ会」などの形を取った。これが、従来通りの葬儀に飽き足りなさを感じ、世間よりも本人、遺族の気持ちを大事にしたいと模索していた人たちに影響を与えた。密葬は社葬を行う前に身内だけの葬儀を指すこともあるので、区別して家族葬、プライベート葬とも呼ばれる。

●宮型霊柩車の乗入れ禁止

 新しく火葬場を作る場合、地元住民の協力を得るために、葬儀を連想させる宮型霊柩車の乗り入れを禁止する傾向にある。乗り入れ禁止の火葬場は、山口県の柳井市斎苑、都城市斎場(宮崎県)、佐賀市つくし斎場(佐賀県)、安来市独松山霊苑(島根県)、高砂市高砂斎場(兵庫県)、氷上郡柏原斎場(愛媛県)、高松市斎場公園(香川県)、八日市布引斎苑(滋賀県)、宝飯郡豊川宝飯斎場会館(愛知県)、府中の森市民聖苑(東京都)、加須市広域利根斎場組合斎場(埼玉県)、栄町斎場(千葉県)、足利市斎場(栃木県)など多数。

●民間委託

 業務を民間業者に委託すること。公営火葬場の民間委託の場合には、火葬、清掃、電気設備保安、廃棄物処理の各業務ごとに委託される。

●メモリアリズム(追憶主義)

 亡くなった個人に対して哀悼する立場。慰霊の形態が多様化し、これまで日本人に一般的であった祖先崇拝が衰退して、メモリアリズムへと移行している。それは、これまでの「家」意識が希薄化し、共同体が崩壊したため、亡くなった家族とのあいだを結ぶ絆は思い出や愛情などの情緒関係となっている。故人の個性や遺志を表現した墓や自由葬は、メモリアリズムの一つの現れである。

●もやいの会

 「もやい」とは船をつなぐこと。墓や自分の死後を見てくれる人がいない人々が、共同墓地を互いに守り、共同供養を続けようという趣旨で生まれた組織。後継者のいない人に対して、墓地の永代使用の申し出を受け付けない霊園も少なくないため、一代限りで血縁者のいない人、経済的に墓所が求められない方、独身で本家の墓所に入れない人、このような人のために共同で墓所を建設したもの。もやいの碑は東京都豊島区のすがも平和霊苑のなかにある。

●ユニーク墓石

 墓石各社がこれまでの概念を打ち破るユニークなお墓の企画、販売を計画している。ガーデニングが楽しめる墓や、集合墓石などだ。いずれも、墓に対する価値観の多様化や、都市部で墓を入手するのが難しくなったことに対応している。東京のある墓石販売会社では、東京近郊の霊園で、自分の区画内にガーデニングできる墓を企画、販売しており、墓石の周囲に好きな草花や背丈の低い木を植えることができる。

●ライフパニック

 人生を左右する思わぬ事故や災害のこと。災難や事故など、不測の事態が起きたとき、家庭での対応力は弱まっているといわれる。長寿社会開発センターの「中高年者の生活を襲うライフパニック調査」パート3の結果によると、緊急時の近隣とのかかわり合いについての質問では、「冠婚葬祭の手伝い」を「近所が助けてくれる」とした人が54.6%に達したものの、「病人が出たときの世話や手伝い」は6.0%と低く、援助への期待度に差がはっきり出た。また、自分の健康で気になる点では、「運動不足」が42.2%と最も多く、「精神的ストレス」20.5%、「カルシウム不足25.1%などが続き、専門家に聞いてみたい健康や生死の問題は、「尊厳死・安楽死」「高齢期の食生活」「がん告知」「最後にすむ所」が上位を占めている。

●リビング・ウイル

 人間らしく死ぬ権利を求める「尊厳死の宣言書」(リビング・ウイル)のこと。この書類は本人が健康のときに作成しておき、実際に不治の病になったときに医師に提出しておくことが必要。1976年に創設された日本尊厳死協会に入会し、「尊厳死の宣言書」の登録している人は、全国で80,603人(平成9年3月現在)。同協会は世界20カ国の36団体と共に「死の権利協会世界連合」をつくり、国際的に協力しあっている。

 

Copyright (C) 1998 SEKISE, Inc.