1993.09 |
昨年(平成4年)の自動車事故死亡者数は1万1451人。昭和63年より連続して1万人を超えている。今から21年前の昭和45年に、交通事故による死亡者1万6765人という記録を作った。このため、国では死亡者数半減を目指してさまざまな手をうった。これが効果を挙げ、昭和55年には交通事故死亡者数を8,760人と半数に減らすことに成功した。しかし再び死亡者数は上昇を続け、昭和63年には1万人を突破、その後も年々上昇を続けている。今回は誰にとっても無関心ではいられない交通事故に接近してみた。
資料は平成5年度の『交通安全白書』を参照とし、実際の事件はそれ以前に起きた新聞記事から参照・抜粋した。
死亡事故の多い月を平成4年の統計でみると、年の後半に集まっていることがわかる。1位が11月の1,087人、次いで12月、10月、8月、9月の順である。一番少ない月は2月の814人で、11月より273人少ない。次に曜日でみると、土曜日の1,764件、次いで日曜日の1,718件となっている。一日のうち、夜間の交通事故発生率は31.7%であるが、死亡事故は57.2%と夜間の方が高い。これから総合すると、一番事故死の発生率の高いのは11月の土曜日の夜。逆に少ないのは2月の木曜日の昼間となる。事故の多くは不注意から起こるが、土曜の夜というのは確かに気が弛む時である。
(交差点における他の車両との関係)
車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。違反する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。(道路交通法36条)
平成4年の交差点内の死亡事故発生件数は3,837件で、35%という高い発生率を示している。次の2つの事故はいずれも信号無視が原因で起きている。
10月24日午後9時5分ごろ、東京都多摩市、都道鎌倉街道の新大栗橋交差点で、塗装工A(19)が運転する5人乗りの乗用車が赤信号を無視して交差点に突っこみ、会社員(20)の乗用車に衝突。この事故でAの車の後部左座席にいた女性(16)が頭の骨が折れるなどで死亡したほか、同乗の少年少女3人等が1〜2週間のけがをした。
警察署ではAを業務上過失致死と道交法違反(信号無視)の現行犯で逮捕した。( 朝日85.11.25 夕)
8月21日午前3時10分ごろ、宮城県石巻市の市道バイパス交差点で、高校2年生(16)のオートバイと、並んで走っていた店員(16)のオートバイが、生命保険外交員Sさん(34)の軽乗用車の右側に衝突。オートバイの高校生と外交員Sさん、軽乗用車に同乗していた飲食店経営Mさん(36)の3人が全身打撲などで即死、店員も足の骨折などで重傷を負った。
石巻署の調べによると、オートバイの2人は蔵王へツーリングに行く途中で、赤信号を無視して交差点に入った。オートバイはかなりのスピードを出していたとみられ、壊れたスピードメーターは90キロを指していた。軽乗用車は右側が大きく壊れ、衝突地点から20数メートルも飛ばされていた。(朝日85.08.21
夕)
8月6日午前1時40分ごろ、千葉県流山市の常磐自動車道の上り車線で、東京都の運転手A(28)のトラックが、路肩部分に停車していた3台の車のうち、最後尾の会社員(35)の乗用車に追突、突き出された乗用車は前に止まっていたTさん(33)のワゴン車Oさん(34)の乗用車に玉突き状態で激突した。
この事故でワゴン車Oさんの車に乗っていた会社員(45)とTさんの車に乗っていたNさん(42)の2人が全身を強く打って死亡したほか、運転手Aと追突された3台の車に乗っていた計9人が頭などに重軽傷を負った。
茨城県警高速道路交通警察隊の調べでは、運転手Aがブレーキも踏まずに追突しており、居眠り運転とみている。(朝日85.08.06 夕)
平成4年12月現在、日本全国の自動車の保有台数は約6,000万台。国民一人あたり0.5台である。30歳未満の単身者世帯では、43.9%が自動車を保有している。さて平成3年の15歳から19歳までの交通事故による死者は1,989人であるが、同年齢層の死亡総数が4,106人であるから、この年令層の約半数が交通事故で死亡したことになる。
交通統計では16歳から24歳までを若者としているが、平成5年度の若者の交通事故死を取り上げてみよう。まず男女比では、男性が2,551人(83.8%)、女性が494人(16.2%)と圧倒的に男性の死亡率が高い。次に死亡事故が発生しやすい曜日では、日曜日が654人(21.5%)、土曜日542人(17.8%)と土日が高く、合わせて40%近くを占めている。
16才から24才までの交通事故による死亡者で、自動車乗車中の死亡者は53.7%、自動二輪乗車中の死亡者は約30%である。(平成4年)次の単車の事故は、いずれも交差点内で起こったものである。
9月6日午前零時38分ごろ、東京都多摩市乞田の都道交差点で、会社員Tさん(21)運転のバイクと、会社員Sさん(36)の貨物トラックが衝突。バイクを運転していたTさんは、頭を強く打ち、府中市内の病院で死亡した。
日野署の調べによると、現場は信号機のない交差点。バイクのTさんが、一時停止の標識があるのに、停止をしないまま交差点に入ったため、出合い頭に衝突したらしい。(朝日85.09.06
夕)
12月14日午前零時20分ごろ、千葉県木更津市の国道16号交差点で、女子中学生ら少年少女4人が相乗りした無免許運転の400ccオートバイと大型ダンプカーが衝突。オートバイの中学2年のKさん(14)と家業手伝いのI君(16)が首や頭の骨を折って即死、中学3年A君(15)と無職B君(16)も頭や顔を強く打って重体になった。同署は、ダンプカー運転手を業務上過失致死傷と道交法違反(安全義務違反)の現行犯で逮捕した。4人は1台のオートバイに相乗りしていた。
調べでは、大型ダンプカーが国道16号の交差点からバイパスへ右折しようとしたところ、前から来たオートバイが大型ダンプカーの左前部に衝突した。調べに対し運転手は「自分の車が曲がったところへ、オートバイが突っ込んで来た」と供述している。(朝日85.12.14
夕)
平成4年の自動車乗車中の死亡者4,783人のうち、76.9%の人がシートベルトをしていなかった。総理府のアンケート調査では、一般道路でのシートベルト着用率は約65%である。次のケースはシートベルトをしていて助かった人と、その逆のケースである。
9月14日午後11時半ごろ、福島県河沼郡の村道で、会社員Kさん(26)運転の乗用車がハンドル操作を誤り、道路右側の沢に約250メートル転落。現場は緩い左カーブの峠で、道路は舗装されておらずガードレールもなく、ガケ下はほぼ絶壁。運転していたKさんは車から投げ出され、全身打撲で即死、助手席の農協職員Oさん(28)は頭などに3週間のけがをした。
会津坂下署の調べだと、Kさんはシートベルトをしておらず、割れたフロントウインドーから投げ出された。Oさんはシートベルトをしており、車が縦方向に回転しながら落ち、前後部は大破したが、一命を取りとめた。(朝日85.09.16)
9月21日午前1時半ごろ、横浜市戸塚区の国道1号立体交差点手前で、会社経営Hさん(33)運転の乗用車が、時速約100キロで走行中、本線と側道の間の分岐点に立てられているコンクリート製点滅灯に激突。車は前部がメチャメチャに壊れ、Hさんは内臓破裂で死亡、助手席の会社員Kさん(25)も頭の骨が折れて即死した。
戸塚署の調べでは、いねむり運転らしい。2人ともシートベルトをしていなかった。(朝日85.09.21 夕)
(停車及び駐車の禁止)自動車は、高速自動車国道等においては、法令の規定もしくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。(第75条の8)
高速道路での事故件数は、平成4年度では人身事故5,659件。うち死亡事故は314件で355人である。自動車事故による全死亡数の約3%とその割合は少ない。事故の発生状況では、車両相互の事故が全体の55%。この車両相互の事故でも、車線上停止車への追突が最も多く、次いで走行車への追突の順である。次にあげるケースは、停止中の車への追突と走行車への追突、スリップによる縁石への衝突である。
8月22日午前7時25分ごろ、千葉県浦安市の首都高速道湾岸線下り線で、Oさん(28)の運転する乗用車が、パンク修理のため中央分離帯寄りの車線に止まっていた乗用車に追突、前の車は炎上し、後部トランクの後ろで修理しようとしていたMさん(18)がOさんの車との間に挟まれ即死。会社員Tさん(19)は、車の後方で停止表示板を置こうとしているところをはねとばされ、左後輪付近にいたAさん(19)もはね飛ばされて足や肩の骨を折って重傷。千葉県警高速道路交通隊の調べによると、Oさんが前をよく見ていなかったらしい。( 朝日85.08.22 夕)
9月2日午前4時40分ごろ、山梨県大月市の中央道下り線で、ブドウを運んでの帰りの運転手Nさん(37)のトラックが、建築資材をとりに行く途中のTさん(29)の運転する大型トラックに追突。追突したNさんの助手席にいたSさん(20)が頭や胸を強く打って即死、追突されたTさんもハンドルに胸を打つなどして約50分後に死亡した。Nさんも頭や腹を打ち重体。
県警高速隊の調べでは、2台ともかなりのスピードが出ていたらしく、追突したトラックは前部が大型トラックに食い込み、大月消防署からレスキュー隊が出動して救出した。(朝日85.09.2
夕)
8月31日午前3時前、東名高速道路の多摩川にかかる橋から、タクシーが急ブレーキをかけたところ、スリップ、蛇行し始めた。タクシーは3車線の真ん中の車線を約20メートル走ったあと、左側車線と路側帯を斜めに31メートル突っ切り、道路左側のコンクリート製縁石に衝突。勢いで縁石の外側の欄干に横向きに乗り上げた。T運転手と後ろの座席に乗っていた商事会社部長Yさん(49)は、それぞれ頭などを強く打ち、即死した。
タクシーはそのまま、欄干の上を約28メートル滑り、鉄製の照明灯に激突、約10メートル下の多摩川の河原に、屋根を下にして転落し、大破した。台風14号の余波で、事故当時、路面には数ミリの雨がところどころにたまっており、このためにスリップした可能性が強い、と警察はみている。(
朝日85.08.31 夕)
平成4年度の、業務上過失致死傷事件として送致された件数は61万件にも及ぶ。これは5年前の昭和62年に比較すると十%増大している。次にひき逃げを見てみると、平成4年度では1万8000件で、5年前の昭和62年の2万8000件より年々減少している。
道路交通法第72条「交通事故の場合の措置」に、交通事故があったときは、当該車両等の運転者は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に交通事故が発生した日時及び場所、死傷者の数及び負傷者の負傷の程度等を報告しなければならない。とある。従っていわゆる「ひき逃げ」は、救護義務及び事故義務違反となる。
8月8日午後9時40分ごろ、東京都豊島区で、山手通りを横断していた主婦Sさん(38)は、ライトバンにはねられ、両肺破裂などでまもなく死んだ。
ライトバンはそのまま逃走したため、目白署でひき逃げ事件として捜査。( 朝日85.08.09)目白署は翌9日夜、会社員M(26)を業務上過失致死などの疑いで緊急逮捕した。調べによると、Mは8日午後9時40分ごろ、乗用車を運転中、赤信号を無視し、横断歩道を自転車でわたっていたSさんをはねて死亡させた後、そのまま逃げていた疑い。調べに対しMは、「新宿で同僚と酒を飲んだあと、自宅へ帰る途中だった。酒酔い運転がバレるのがこわくて、そのまま逃げた」などと供述した。(朝日85.08.10
夕)
8月24日午前零時35分ごろ、東京都江東区の明治通りで、近くに住む会社員Mさん(33)が、酔って道路を歩いているところを車にひかれて倒れているのを通行人が見つけた。救急車で病院に運んだが、内臓破裂などで間もなく死んだ。(朝日85.08.24 夕)
(罰則)無免許運転は、6月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。(118条)
10月25日午前零時40分ごろ、福島市松川町の国道4号で、レストラン従業員Sさん(17)運転の乗用車が、運送会社勤務Tさん(33)運転の大型トラックと正面衝突した。乗用車の16歳から18歳までの男性4人、女性2人の計6人のうち、Sさんら5人が死亡、女性1人が全身を打って重体。
福島署の調べによると、Sさんは無免許。また、乗用車は定員5人だった。(朝日85.10.25 夕)
(酒気帯び運転等の禁止)の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔った状態にあった者は、2年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。(第117の2)
平成4年度の酒酔運転による死亡事故は532件で、違反による死亡事故の4.9%である。それでも1日あたり1.4件と多い。
8月9日午前零時40分ごろ、東京都足立区の区道で運転手T(24)の普通トラックが、駐車中の大型トラックに追突、Nの車に同乗していた家事手伝いMさん(23)と会社員Kさん(22)が全身を強く打って間もなく死亡、Tも頭に2週間のけが。
調べによると、Tは常磐線亀有駅前のスナックで酒を飲んだあと、同スナックでアルバイトをしているMさんとKさんを車に乗せて家に送る途中だった。ブレーキをかけずに追突しており、酒酔いとわき見運転が原因とみられる。(朝日85.08.09
夕)
(過労運転等の禁止)の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。(第117の2)
(車両等の使用者の義務)車両等の使用者は…安全な運転に関する事項を遵守させるよう努めなければならない(第74条)次のケースは2つともバス会社の運行管理責任が問われたものである。
昭和60年の1月28日、長野市信更町の国道19号笹平ダム湖に三重交通のスキーバスが転落し、日本福祉大学の学生ら25人が死亡した事故が起きた。長野県警と長野中央署は、事故原因は、過労状態にあった運転手の判断ミスと断定。運転手に2週間連続の過密勤務を命じていた会社にも運行管理責任があるとして、三重交通と、同社四日市営業所の路線バス運行主任(45)を、道交法75条(過労運転の命令、容認)違反の疑いで、長野地検に書類送検する方針を決めた。死亡したD運転手(当時42)も業務上過失致死傷容疑で書類送検する。
D運転手は、1月15日から28日までの2週間、1日も休みをもらえなかった。24日には、新潟県・赤倉温泉スキー場まで客を運び、帰社した翌日の26日から2日間は早朝から路線バス業務に。27日は、わずか3時間の休憩後、長野県・竜王スキー場に向けて深夜のスキーバスを運転、事故を起こした。
県警は会社が、D運転手の過酷勤務を知りながら、深夜・長距離のスキーバス業務に就かせており、運行主任も、事情を知りながら勤務表をつくったとしている。(朝日85.08.26)
10月5日午後1時15分ごろ、山梨県北巨摩郡須玉町の中央自動車道須玉インタから約2キロ長野県寄りの上り車線で、山梨県へぶどう狩り、昇仙峡見物などに行く途中の福井市の京福電鉄福井支社の2階建て大型観光バスが、中央分離帯を突き破って反対車線に飛び出し、約30メートル下の県道に転落、大破した。バスには福井日本電気の従業員60人と乗務員ら計65人が乗っており、乗客のKさん(21)ら3人が死亡、61人が重軽傷を負った。N運転手(44)は同4時ごろ、転落現場から約200メートル離れた木に首をつって死んでいるのが発見された。
バスは制限速度の70キロを約30キロも超えるスピードを出していたとみられ、わずかにスリップ痕は残っているものの、中央分離帯のガードレールに一直線にぶつかっている。このため、N運転手の居眠りかわき見運転の可能性が強いとみている。(朝日85.10.06)その後の調査では、山梨県警は、バスの後部タイヤ6本が著しく磨耗していたことを重視し、京福電鉄福井支社業務上過失致死傷の疑いで家宅捜索、車両管理責任を追及した。(毎日85.10.09)
自動車損害賠償責任保険(責任保険)は自動車の起こした人身事故にたいし、政令で定めた保険金額を支払う制度であるが、平成3年度に支払われた保険は93万件、7,800億円にのぼる。そのうち死亡に関する保険金の支払いをみると、平成3年度の支払件数は1万1560件で、平均支払額は2,087万円。また政府ではひき逃げや無保険車による事故の被害者に対し、保障を行なっているが、平成3年度ではひき逃げや無保険に対し、約38億円を支払っている。
(自賠責保険)保険会社は…保険契約者又は被保険者の悪意によって生じた損害に突ついてのみ、てん補の責を免れる(第14条)
昭和54年10月、甲府市内で男性Bが男女間のトラブルから、タクシー運転手の車の発進を妨害、運転手が急に車を動かしたので路上に転倒、頭骨を折って死亡した。死亡した男の妻Aは、この運転手を相手に損害賠償を求める裁判を起こし勝訴、運転手は任意保険契約を結んでいた保険会社に支払を求めた。しかし同社は、「保険約款では、ドライバーに故意があった場合、保険会社は支払を免責される」として支払を拒否した。その後Aは、タクシー運転手に替わって訴訟を起こした。(毎日85.10.26)
昭和60年10月25日の東京地裁の判決で裁判長は、「免責条項の故意は、運転者に『けがをさせる』という確定的認識があった場合を指し、本件のような『未必の故意』の場合は含まれない」との判断を示して、保険会社に計約820万円を支払うよう命じた。
任意保険の免責問題に関して無免許、酒酔い運転についても免責されない、と約款が改訂されるなど、徐々に免責の範囲が縮小される傾向が強まっているが、「未必の故意」の場合も免責されないとした判断は初めてある。( 朝日85.10.26)
交通事故による賠償問題のための訴訟または調停は、平成4年度で1万1000件、被害者100人につき約1.4人の割である。
5日午後1時半ごろ、東京都練馬区の新青梅街道で、小型清掃車を運転していた運転手Kさん(53)は、突然気を失って車ごと道路わきのコンクリート製電柱に激突、近くの病院に運ばれたが、すでに死んでいた。助手席に乗っていた清掃事務所職員Nさん(45)が左腕の骨を折って1カ月のけが、同Sさん(45)も頭を強く打って入院した。石神井署の調べによると、Kさんは血圧が高かった。(朝日85.11.06)
車の運転の最中に「突然死」したドライバーが昭和58年、59年の2年間に東京都内で43人いた。うち2割は急死が原因で衝突事故などを起こしている。死因の多くは心臓病で、ドライバーの高齢化が背景にある。急死の43人はいずれも男性。運転車種で分けると、マイカーなどの乗用車19人、タクシー11人、トラック6人(自家用を含む)、バス1人、その他6人となっている。うち9人の急死は、そのまま交通事故につながった。乗用車3人(追突1、衝突2)、タクシー2人(衝突2)、トラック2人(同)、バス1人(衝突)など。ほかは、ふらふら運転で路肩に近づいて止まり、発見された時にはドライバーが死んでいたり、交差点の信号で停止中に息を引き取った人もいる。年齢別では40歳代(12人)、50歳代(同)、60歳代(10人)と、中、高年齢が7割以上を占める。
死因は心筋こうそく(21人)、心臓弁膜症(2人)など心臓病が7割、脳出血(7人)、くも膜下出血(4人)など脳血管障害が3割。死亡した当日は、外見上に異常がみられないまま運転を始めたケースばかりで、突然死の典型という。(朝日85.11.13)
何といっても車の本場アメリカでの交通事故による死亡者数は多い。1991年度では4万1150人で、日本の3.7倍。しかし車の数そのものが多いから、それを考慮すると、自動車1万台あたりの死亡者は2.4人である。日本では平成4年の統計で1.8人である。
お隣りの韓国をみると、1991年度の交通事故による死亡者は1,2363人と日本よりも多い。また自動車1万台あたりの死者は31.6人ときわめて高い数字を示している。次いで中華人民共和国では、死者53,292人。自動車1万台当たり87.9人とこれも高い数字である。
『交通安全白書』(平成5年版)、朝日新聞他。なお法律の条文は、一部表記等を変えてあります。