三ケ寺と付き合う

[男性 65歳]

イラスト  戒名を付けていただいたお寺さん、法事・供養のお寺さん、お墓のあるお寺さん ---- 私は、三つのお寺さんの、お世話になっています。
 父は、公務員として転勤を繰り返し、退官後に最後の赴任地であった鳥取県のある市に居を構えましたが、平成2年に亡くなりました。昭和23年に大阪で就職した私は親とも離れて暮らしておりましたが、残された病弱の母のこともあり、葬儀について地域の人と相談しました。しかし風習のちがいで、話しが折り合わず、私は葬儀屋さんに、まかせました。お寺さんも、本家の菩提寺の住職さんを、本家から頼んでもらいました。
 法事・供養のお寺さんは、私の住んでいる近くの仏具店で、紹介してもらいました。お寺さんに、事情を話して、法事の供養をお願いしたときに「田舎は過疎、都会は過密。都会のお寺は多忙です。仏さんの籍は、戒名をつけたお寺にありますので、法事まいりだけは、お断りしているお寺もあるようです。うちの寺も、手いっぱいになりそうです」と、言われましたが、引き受てもらいました。しかし、このお寺には納骨堂だけで、墓地がありません。
 私は霊園に埋骨することを考えましたが、妻が「霊園だと、お寺さんにお参りしてもらえない。宗派が違うけど、実家のお寺さんにお願いしてみたら」と、言いました。宗派の違いにこだわりがありましたが、妻の実家のお寺さんは快く墓地をわけて下さいました。
 父が亡くなって1年後、母が亡くなりました。私は父の葬儀のときに戒名をつけていただいた本家のお寺さんに頼みました。
 三つのお寺さんと、付き合っていくのは、支出面から考えると、大変ですが、私は「三つのお寺さんにお世話になっている父と母は、幸せかも知れない」と、考えています。


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