私は先頃、親しかった友人の葬式に出席したとき、友人への深い悲しみよりも葬式の前から葬儀会場に霊柩車が横付けしてあるのに、合理的という言葉では片づけられない怒りを強く感じました。
怒りながら家に帰ってきたせいか、香典返しの砂糖、お茶の類の平凡さが、故人との思い出を残せるものかとつい思ってしまいました。彼女は、とてもやさしく誰からも愛される性格の持ち主だったので、親族ではないので、彼女の形見分けが欲しいとは言えないが、故人をできるだけ長く忘れないでいるためのものを香典返しに品に欲しかったと、切に思いました。
この頃の葬式は故人の生前の声を吹き込んだテープを会場に流したり、生前の姿を映したビデオを映し出して、葬儀に工夫を凝らしていると聞いています。彼女の葬式もそんな工夫を凝らされていれば、怒りよりも哀しみが深かったはずなのにと思いました。
そこで私は、香典返しの品として、故人の生前の声を吹き込んだテープや生前の姿を映しだしたビデオを出してはどうだろうかと考えました。
これはスターとか有名人ですでに実用化されていると思いますが、一般人用に発売してはいかがでしょうか。またこれでは費用がかさむようでしたら、故人の出生から死に至るまでの写真をコピーしたものを小冊子にしたアルバムは、どうでしょうか。
これを作る場合、急死したとき、写真の収集に手間がかかる難点があります。そういう場合には、あらかじめ業者の方でアルバムを用意し、親族の方から故人の思い出の曲を聞き、その曲を吹き込んだものをアルバムの中に内蔵したものを作ってはどうでしょうか。もし、これがあったら、彼女との思い出が少しでも長く心に刻み込めるだろうと思いました。