合理的な北海道のお葬式

[男性 47歳]

イラスト  北海道、とくに札幌地方の葬儀は、実にスムーズにとり行なわれる。
 私は関西出身で30代の頃、こちらに移住した。やがて妻の両親も年老いて葬儀を行なった。町内会の役員に病院から電話を入れると、帰宅したときには会長はじめ役員が来ていた。彼らは私達の大筋の希望を聞き、てきぱきと役割を決めて、葬儀会社の人達を交えて決めてくれた。
 私達の出る幕がないくらい次々と仕事を進めてくれた。私はこちらでの葬儀に関しての慣習を知らなかったので、会社の先輩に相談してみた。香典としていただいた金額の多い少ないにかかわらず、会葬御礼の葉書と、その際に一緒に渡す砂糖のたぐいのような物で、よいとのことであった。
 半返しなどの気づかいは不要とのことであった。私はそれでも過分な御香典に対しては、適当な品物をみつくろって返しておいたけれども。妻の両親が亡くなってから、数年の内に私の関西に住む父母が亡くなった。その際には、町内会、長兄の職場の人達などが手伝ってくれた。そしてこまごまとした仕事をする上において混乱が見られた。喪主である兄は、気の毒とも思えるくらい様々なことを訊かれていた。親を亡くした悲しみだけで、精一杯であるはずなのに、まるで、北海道での町内会の総務部長のような仕事を喪主がしなければならなかった。
 本家、分家、家柄など、あんまり気にしなくてもよい北海道だから、葬儀などのセレモニーにおいても、簡略化されているのかもしれない。北海道で2度の葬儀を体験した私は、町内会のシステムはありがたいと思った。


Copyright (C) SEKISE, Inc.