年末にかけて、たて続けに葬式が続いたせいで、改めて葬式について考えさせられた。いろいろあるのだが、一番感じたのは会場のことである。
通夜や告別式の多くは、自宅や寺で行なわれることが多い。年末ともなると昼間の告別式でも肌寒く、通夜ともなると肌を刺す寒さである。近親者なら哀しみのせいで、寒さなど忘れてしまうだろうが、仕事関係や近所の他人になるとこの寒さはなかなかこたえるものである。
だから、という訳ではないが、冷暖房完備の冠婚葬祭専門のチェーン店で行なわれた葬式は有り難かった。受付から焼香まで、また通夜から告別式まで、ずっと快適な室温に保たれてのお葬式は、参列者にとって故人をしみじみと偲べて非常に良かったと思う。夏の葬儀でも、汗だくになって故人を弔うより、涼風の中で故人の人柄を偲ぶ方が、ずっと合理的だと思う。
葬式は寒さや暑さと戦う修業の場ではないのだから、快適な環境で行なうべきである。高齢の方が多い葬式では、階段や段差が少なく、エレベーターやエスカレーターの使用できる会場。そして、冷暖房完備で葬儀に集中できる会場こそ、時代のニーズであろう。