葬儀の疲労 

[女性 32歳]

イラスト  私の父が62歳で亡くなった時、私を含めて3人の子供達は、社会人ではありましたが、まだ結婚前で、独立しているとはいえない状態でした。ですから葬儀のいっさいは、母が「喪主」という形でとりしきるとこになりました。
 父は、元教師で寺の住職もしており、周りの方々の意向で、参列者が便利なようにと、葬儀は土曜日に行なうことになりました。父が亡くなったのは、土曜日であり、本葬までに一週間あくことになりました。
 葬儀は家族を失った悲しみに、さらに儀式による心身両面のわずらわしさが多く、葬儀を済せてしまうまでは、遺された者にとっては大変な日々を過ごすことになります。この一週間のために、家族全員が接客や心労などでくたくたに疲れてしまいました。特に中心になって葬儀を運ぶ役目の母と兄、それに高齢の祖母はすっかり体がまいってしまいました。父の葬儀後、今まで病気をしたこともない母が肝臓を悪くし、7年以上たった現在もよくならず、かえって年令を重ねると共に、母の体を苦しめています。
 私が一番提案したいのは、葬儀は遺された人々にとって心身共に最も負担の少ない方法をとることが大切だということです。できるなら、葬儀は早くすませてしまう方が良い。体面や人の噂より、何より遺された人々が早く立ち直って健康な生活を送れることが良い。葬儀によって体調を崩し、その後ずっとそれに苦しめられるのは、あまりに悲しい事だと思うのです。
 死者の供養は心の問題です。無理をしてまで盛大な葬儀をしても、それで全てが済んだ訳ではないのです。私は遺された人々が一番楽のできる葬儀が、これからの葬儀に最も必要な事だと思います。


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