「戒名は、院にしますか、居士にしますか、それとも信士でよろしいでしょうか」と、聞かされて、まごつきました。
父が亡くなった時のことです。枕経が終わって、戒名をつける段になってからです。なんのことやら、わかりませんので、尋ねましたところ、住職の話しでは、戒名には、大別して男性の場合は、院と、居士と、信士があるということでした。例えて言うなら、院が大学卒とすれば、居士は高校卒、信士は中学校で、社会に出る時にランク付けされるように、あの世に行っても戒名でランクづけされるということでした。それでは、いちばん上等の院でお願いしますと言うと、院は戒名料が50万円以上になっていますということでした。
「お布施、心付け、葬儀費とは別ですよ」これには驚きました。では、予算の関係もありますので、他のを聞くと、居士なれば30万円以上です。信士にされますと普通のお布施で結構という話でした。
さあて? と、身内一同、鳩首緊急会議となったわけですが「死んでからまで、そんな差別があるもんか」と、言う者と「いや、輪廻転生というて、つまり霊魂は不滅げな、いろいろなものに生まれかわるそうな。三界(欲界、色界、無色界)や、六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上)に、生死を繰り返して永久に苦しむという、同じ人間に生まれ変わっても、生まれどころの良いか、悪いかで、その人の一生が左右される。それが戒名のランク付けじゃろう」と、変に詳しいのが出て、喪主なる私は大いに迷ったものでした。
それも宗派によって違うようですが、念のためです。前もって知っておいて損はないはずです。これからお葬式をする人に、一言、アドバイスです。