去年、祖父が亡くなり、身内のお葬式を初めて体験しました。その時、お寺の住職さんから、いろいろ話を聞き、いままで正しいと信じていたことが、間違いであることを知ることができました。
まずは、北枕。死者は北枕に、と言われていますが、浄土真宗の場合、これにはこだわらないということ。仏壇の前に死者の頭がくるようにおけば良いのです。次に「御仏前」とか「御霊前」などという不祝儀袋の表書き。浄土真宗では、「御霊前」という文字を決して使ってはいけません。正しいのは、「御仏前」です。そして、よく聞くのが、一通りのお葬式が終わってから、親族代表の挨拶の中で「故人も、草葉の陰で…」という言葉。人は、死後、お葬式で供養をすることによって、極楽浄土に行くのです。「草葉の陰で…」などと言うと、故人はまだまだ成仏せずに、どこかでさまよっていることになります。くれぐれも気をつけなければなりません。
それから、お葬式から帰って、家に入る前に、塩で身を清めるという風習がありますが、これもしてはいけません。さきほども言ったように、人間は死ぬとみな仏様になるのですから、それを縁起の悪いものとしてとらえてはいけないのです。
最後に戒名(法名)。高額の御布施を払えば、長い戒名をつけてもらえると思っている人が多いようですが、これも間違い。金額の多い少ないで、戒名は差別されません。また、長い戒名ほど、死んでからの位が高くなるということもありません。人である以上、誰もが必ず迎える死、お葬式のしきたりも、宗教やその地方のしきたりなどで、さまざまですが、私のこの文章が、少しでも役に立てば幸いです。