お見舞いの難しさ

[神奈川県 女性 27歳]

イラスト 昨年母が検査と手術のため3ケ月程入院していた。親類、母の友人、近所の方々と色々な方々がお見舞いに来て下さった。その中で実感したのは、「見舞い」とはとても難しいものであるということ。それは見舞いに来て下さるかたは健康であるが、母は病人であるということ。家にいる時のように心や体が落ち着いているわけではないのだ。
 他人に病気の姿を見せたくないと思ったり、人と話したくない時もある、明日の検査で悪い結果が出たらどうしようと不安で仕方ない時もある。それなのに時間を選ばずやってきては長時間話しをしていく見舞い客に対して、病人は無防備だ。どうすることもできない。見舞い客の帰った後、疲れて眠る母を見て、見舞いに来ること(行くこと)は、はたして良いことなのか悪いことなのかを考えさせられた。
 また色々とお見舞いの品を頂戴したのだが、絶食検査中の時の食べ物類(特に生もの)、きれいだが頭がくらくらしそうに強い香りのお花、同じような病気の人が書いた闘病記など、お心づかいは本当にありがたいのだが、それでも困ってしまうものばかりだ。そんな中で、大変気のきいたお見舞いの品だと思ったのが母の友人の方が贈って下さったテレホンカードの3枚組セット。かさばらず腐らず、見て良いし使って良しと実用的。病院から毎晩家へ電話をする母には大変役立ったそうだ。それともう一つ。食欲のない母に少しでも御飯が食べられるようにと、塩分ひかえめの大変おいしい梅干を1箱。こちらも母の友人が贈って下さったものだが、この梅干のおかげで食欲が出たと母は言っている。
 母の入院を通して、私は自分が見舞う側に立った時に気をつけなければいけないことを身をもって体験したと思っている。


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