浄土真宗の式次第

親鸞〈見真大師・1173〜1262)を開祖とする浄土真宗は、浄土宗より出ました。主要経典は『無量寿経』『観無量寿経』『阿弥陀経』の浄土三部経。ご本尊は阿弥陀如来。また六字名号(南無阿弥陀仏)の名号本尊があります。宗派は大谷派(東本願寺)と本願寺派(西本願寺)の二派が大きな勢力を持っています。室町時代の蓮如上人によって大きく発展しました。上人は入滅に先立ち、葬儀作法を細かく遺言され、その内容がそれ以後の葬儀の作法の基礎になっています。浄土真宗は往生をとげた死者に対し、生前の徳を偲び、心から礼を尽くし、死者の解脱をはかる引導作法や追善回向の作法はしないのが建前となっています。ここでは真宗大谷派の式次第を取り上げます。
(なお所によって式次第が異なったり、時間によって省略される場合がございます)

一般の仏式葬儀式

次第一般に行われる仏式葬儀の場合、「読経」という部分でその宗派独自の経典読経、および作法が実施されます。式次第に「読経」部分の細目が記されない場合には、仏式に共通した式次第が使用されることがあります。

式の特色

浄土真宗の葬儀は死者への供養でなく、阿弥陀仏への報恩の行という意味での勤行で、故人の生前の徳を偲び、心から礼を尽くします。
従って死者の解脱をはかる引導作法や、追善回向の作法は存在しないのが建前で建前になっています。浄土真宗が他の宗派と違う点は、戒名がないこと。引導がないことが上げられます。
念仏者はすでに極楽往生が決まっているので、遺体の上に刃物を置く習慣や、死装束、葬儀の後の「清め塩」などを用いないことが建前となっています。
また弔電・弔辞で用いてはいけない言葉に、
「冥福を祈る」「草葉の陰の君」「昇天されて」「幽明境を異にする」「泉下の人」 などがあります。

(例1)

1.枕勤め

 お内仏に燈明を点じ、遺体を内仏の近くに安置します。死者に法名を授け、それから「帰命無量寿如来」で始まる『正信偈(しょうしんげ)』等を唱えます。

2.通夜

遺体を納棺し、本尊の前に安置して行ないます。
(1)正信偈(しょうしんげ)  「教行信証」の中の七言120句の偈。
(2)念仏讃(ねんぶつさん)‥‥‥‥‥‥念仏の功徳を賛えます。
(3)和讃(わさん)‥‥‥‥‥‥仏を讃嘆した文を唱えます。
(4)回向(えこう)‥‥‥‥‥‥「願以此功徳」で始まります。
(5)法話式次第

3.葬儀式

(1)総礼
( 2)勧衆偈  
(3)短念仏(十遍)
(4)回向   
(5)総礼
(6)三匝鈴(さそうれい)‥‥‥‥‥‥鈴を小から大と打ち上げます。
(7)路念仏‥‥‥‥‥‥南無阿弥陀仏四句を一節とする念仏。
(8)三匝鈴
(9)導師焼香
(10)表白‥‥‥‥「無常の嵐は時を選ばず」で始まります。
(11)三匝鈴
(12)弔辞 
(13)正信偈‥‥‥喪主以下焼香。 
(14)短念仏
(15)和讃‥‥‥‥「本願力にあいぬれば」等で 始まります。
(16)回向
(17)総礼

式次第(例2)

1.葬儀式

(1)親族参列者着席 
(2)導師入場
(3)開式の辞
(4)読経
(5)表白
(6)弔辞拝受
(7)弔電拝読
(8)焼香
(9)導師退場
(10)葬儀委員長挨拶
(11)閉式の辞
休憩

2.告別式

(1)導師入場
(2)開式の辞
(3)読経
(4)一般焼香
(5)導師退場
(6)親戚代表謝辞
(7)閉式の辞/以上

 

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