実際に死亡しているかどうか確認出来ない場合に、死亡したものとみなす法律があります。例えば行方不明になったまま、生死不明の状態が何年も続いた場合、残された相続人は、財産の相続ができませんので相続税の申告も不可能となります。こんな場合には、民法の失踪宣告をすることによって、失踪者は死亡したものとしてそれ以後の手続きを可能としています。
(1) | 不在者の生死が7年間分明ならざるときは、家庭裁判所は利害関係人の請求により失踪の宣告を爲すことを得る。 |
(2) | 戦地に臨みたる者、沈没したる船舶中に在りたる者、その他死亡の原因たるべき危難に遭遇したる者の生死が、戦争の止みたる後、船舶の沈没したる後、又はその他の危難の去りたる後1年間分明ならざるときは又同じ。 |
前条第1項の規定により、失踪の宣告を受けたる者は、前条第1項の期間満了の時に死亡したるものと見做し、前条第2項の規定により、失踪の宣告を受けたる者は危難の去りたる時に死亡したるものと見做す。
(1) | 失踪者の生存すること又は前条に定めたる時と異なりたる時に死亡したることの証明あるときは、家庭裁判所は本人又は利害関係人の請求により失踪の宣告を取消すことを要す。但し失踪の宣告後、その取消前に善意をもって為したる行為はその効力を変せず。 |
(2) | 失踪の宣告によりて財産を得たる者は、その取消によりて権利を失うも、現に利益を受くる限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。 |
申立先は、申立人の住んでいる土地を管轄する家庭裁判所です。申し立てがあると、家庭裁判所では、この者の生死を知る者は届け出よという公示催告の公示をします。公示催告は、裁判所の掲示板に掲示し、同時に官報に掲載されます。
生死を知っている者が申し出る期間は一般の失踪の場合は6カ月以上、特別失踪の場合は2カ月以上の期間を置きます。この期間が過ぎると、家庭裁判所では失踪宣告の公告をし、その旨を本籍地の市町村長に通知します。