政治家と官庁関係者への弔辞 文例

(文例1)

  わが莫逆の友○○君の死を悼む。君は余りにも、泉途に赴くを急いだ。後進に道を譲ったとは言え、君の影響は今も大なるものがあり、君を頼りにしている人々は数多い。
  君の突然の訃報に、大いなる指針を失った悲しみに暮れる者の少なくないのも、無理からぬことである。かく言う私もまた、一人愕然たる思いに耽る者である。
  君とは、若年より友情を温めた仲であった。幾晩、夜を徹し天下を論じたことであろう。図らずも、両人共政界に身を投じた。君は傘下に多くの人々を擁してきたが、しかし君にも敵が無かったわけではない。現にこの私にとっても、君はよきライバルでもあった。時には友より敵の方がより、人間を磨くに効験のあるものだ。
  よき友でもあり、よきライバルでもあった君が、いかに大切な存在であったかは、言葉には尽くせぬものがある。
  君は地方行政にきめ細かな手腕を発揮したが、常に大局を見通す目を備えていた。
  君の業績は有形無形の記念碑となって、長く人々の間に残ることであろう。
  私は敢えて、ここでその一つ一つを顕彰することは控えよう。何故なら、君がそれを望みはしないことを知っているからだ。
  君は地下水のように社会を潤すことを終生の望みとした政客であった。
  ただこれだけは、君の霊前に誓いたい。君が起案し、そしてその路線を敷いた、○○市の○○計画に関しては、私の力の及ぶ限り実現への努力を払うつもりである。尚、志をともにして来られた方々も、○○君の死によって後進することなく、遺志を引き継いでいただきたい。
  さて、ご遺族の方々には、お慰めの言葉も無いが、○○君のような、夫を、父を持ったことを誇りとし、それを支えとして強く生きられるよう切望する次第である。
  別れに望んで、いつまでも哀悼の念は断ちがたいが、君の充実した人生を想う時、この上は塵界を遠ざかった彼岸の浄福を心より祈るばかりである。

(文例2)

  本日ここに、○○市○○局長○○君の告別式が行なわれるに当たり、謹んでお別れの言葉を申し上げます。
  ゆとりと活気ある○○市の街づくりと、市民から愛される市役所をめざして○○局の第一線で活躍いただいておりました○○君の突然のご逝去の報に接し、まことに惜しい逸材を喪ったと、無念の思いでいっぱいであり、痛恨の極みであります。
  あなたは昭和○○年○○大学○○部を卒業され、直ちに○○市に奉職されましたが、以来○○年余の長きにわたり、豊富な見識と卓越した行政能力を駆使せられ、市民の皆さんの要望に応えるため、日夜を分かたず職務に邁進してこられました。
  その真摯な態度は○○市職員のみならず、多くの市民に感銘を与え、人々の胸に永く刻まれていくことでしょう。
  ○○君の残された功績は枚挙にいとまがございませんが、現在○○区にあります貿易センターは○○市を代表する文化施設として、全国に知られておりますが、これは○○君の行政手腕によって実現しえたと申しても過言ではありません。
  また国際化が言われる今日、○○博覧会が本市において開催されることになっておりますが、この誘致も○○君の陣頭指揮によって決定されたものであります。
  これらの業績はまことに大きく、○○市史上に刻み付けられることでしょう。
同年代を共に手を携えて生きてまいりました者として、貴方を失ったこの寂漠たる思いは語り尽くす言葉がありませんが、あなたが誰よりも情熱を傾け、その一生を捧げられた○○市政を更に発展させることを心から誓うものであります。
  この後も、あなたのご人徳は永く記憶され、ご遺族の皆様がこの悲しみを乗り越えて強く生きてゆかれる心の拠り所となることでしょう。
  この上は、あなたが安らかに眠られることを衷心よりお祈りいたしまして、私のお別れの言葉といたします。

(資料「弔辞」日本メモリアル協会編)

 

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