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人間の寿命は年々増加しているように見えるが、その中身の充実度は生きた年代だけでは計ることができない。「こんな人がこんなに若くして死んだのか?」というケース。「こんな病気で死んだのか?」様々である。今回の「デスウオッテング」では、日本人の現代の著名人を集め、その寿命を調べてみた。
藤村操(ふじむらみさお 1886〜1902)学生。日光華厳の滝に投身自殺。
山口乙矢(やまぐちおとや 1943〜1960)社会党委員長浅沼稲次郎を刺殺。鑑別所内で自殺。
大山信子(おおやまのぶこ 1877〜1896)大山巌の長女。肺結核。
赤木圭一郎(あかぎけいいちろう 1939〜1961)映画スター。ゴーカートでの事故死。
樋口一葉(ひぐちいちよう 1872〜1896)小説家。「たけくらべ」。肺結核。
滝廉太郎(たきれんたろう 1879〜1903)作曲家。「荒城の月」で有名。結核。
北村透谷(きたむらとうこく 1868〜1894)詩人。「楚国之詩」自殺。
石川啄木(いしかわたくぽく 1886〜1912)詩人。「一握の砂」肺結核。
沢村英治(さわむらえいじ 1917〜1944)巨人軍の工ース。郵送船内で戦死。
円谷幸吉(つぶらやこうきち 1940〜1968)オリンピック、マラソン選手。
夏目雅子(なつめまさこ 1957〜1985)女優。「時代屋の女房」主演。急性骨髄性白血病。
青木繁(あおきしげる 1882〜1911)洋画家。「海の幸」。
山中貞男(やまなかさだお 1909〜1938)映画監督。「国定忠治」、戦病死。
中原中也(なかはらちゅうや 1907〜1937)詩人。「山羊の歌」、結核性脳膜炎。
園井恵子(そのいけいこ 1914〜1945)女優。「無法松の一生」主演。広島巡演中に被爆。
三代目 三遊亭歌笑(さんゆうていかしょう 1919〜1950)落語家。交通事故。
谷豊(たにゆたか 1910〜1942)軍事探偵。通称「ハリマオ」。シンガポ−ル陸軍病院で死亡。
松井須磨手(まついすまこ 1886〜1919)新劇女優。「カチューシャの唄」。自殺。
永野一男(ながのかずお 1952〜1985)豊田商事会長。マンション内で刺殺。
正岡子規(まさおかしき 1867〜1902)俳人。「歌よむに与ふる書」。脊椎カリエス。
芥川龍之助(あくたがわりゅうのすけ 1892〜1927)小説家。「河童」。服毒自殺。
牧逸馬(まきいつま 1900〜1935)小説家。「丹下左膳」。脳溢血。
尾崎紅葉(おざきこうよう 1867〜1903)小説家。「金色夜叉」。胃癌。
広瀬武夫(ひろせたけお 1868〜1904)軍人。旅順港で戦死。
長塚節(ながつかたかし 1879〜1915)小説家。「土」。喉頭結核。
国木田独歩(くにきだどっぽ 1871〜1908)小説家。「武蔵野」。肺結核。
佐田啓二(さだけいじ 1926〜1964)俳優。「君の名は」。自動車事故。
沢田正二郎(さわだしょうじろう 1892〜1929)新国劇創設者。「国定忠次」。急性化膿性脳膜炎。
宮沢賢治(みやざわけんじ 1896〜1913)詩人。「雨ニモマケズ」。急性肺炎。
関屋敏子(せきやとしこ 1904〜1941)歌手。睡眠薬自殺。
津村謙(つむらけん 1923〜1961)歌手。「上海帰りのリル」。自動車の一酸化炭素中毒死。
市川雷蔵(いちかわらいぞう 1931〜1969)俳優。「眠狂四郎」。直腸ガン。
大杉栄(おおすぎさかえ 1885〜1913)社会運動家。憲兵隊による虐殺。
岸田劉生(きしだりゅうせい 1891〜1929)洋画家。「麗子像」。冑潰瘍。
児玉降也(こだまたかや 1937〜1975)ルポライター。「ガン病棟の99日、肺ガン。
太宰治(だざいおさむ 1909〜1948)小説家。「斜陽」。心中。
力道山(りきどうざん 1924〜1963)レスラー。喧嘩の未、病院で死亡。
高橋和巳(たかはしかずみ 1931〜1971)小説家。「悲の器」。結腸ガン。
葛西善蔵(かさいぜんぞう 1887〜1928)小説家。「哀しき父」。
速水御舟(はやみぎょしゅう 1894〜1935)日本画家。「炎舞」。チフス。
上田敏(うえだびん 1874〜1916)詩人。「海潮音」。萎縮腎。
若山牧水(わかやまぼくすい 1885〜1928)歌人。「秋風の歌」。肝硬変。
直木三十五(なおきさんじゅうご 1891〜1934)小説家。「南国太平記」。脊髄カリエス。
田宮二郎(たみやじろう 1935〜1978)俳優。「悪名」。発砲自殺。
植村直巳(うえむらなおみ 1941〜1984)冒険家。マッキンリー山で遭難。
坂本九(さかもときゅう 1942〜1985)歌手。「上を向いて歩こう」。航空機事故死。
二葉亭四迷(ふたばていしめい 1864〜1909)小説家。肺結核で帰国の途中船内で死亡。
有島武郎(ありしまたけお 1878〜1923)小説家。「カインの未裔」。心中。
三島由紀夫(みしまゆきお 1925〜1970)小説家。「金閣寺」。割腹自殺。
梶山季之(かじやまとしゆき 1930〜1975)小説家。「黒の試走車」。肝硬変症によって生じた食道静脈瘤の破裂。
江利チエミ(えりちえみ 1937〜1982)歌手。「テネシーワルツ」。窒息死。
相沢二郎(あいざわさぶろう 1889〜1926)永田陸軍軍務局長の暗殺者。昭和11年射殺刑。
伊丹万作(いたみまんさく 1900〜1946)映画監督。伊丹十三の父。「国士無双」。
原民喜(はらたみき 1905〜1951)作家。鉄道自殺。
大正天皇(たいしょうてんのう 1879〜1926)明治天皇の第二皇子。肺炎。
小山内薫(おさないかおる 1881〜1928)劇作家。自由劇場を始める。心臓麻痒。
夢野久作(ゆめのきゅうさく 1889〜1936)作家。「ドグラ・マグラ」。脳溢血。
三木清(みききよし 1897〜1945)哲学者。「哲学ノート」。刑務所内で病死。
林芙美子(はやしふみこ 1903〜1951)作家。「放浪記」。心臓弁膜症。
寺山修司(てらやましゅうじ 1935〜1983)詩人。劇団「天井桟敷」主宰。肝硬変。
伊藤左千夫(いとうさちお 1864〜1913)作家。「野菊の墓」。脳溢血。
夏目漱石(なつつめそうせき 1867〜1916)作家。「明暗」。胃潰瘍。
堀辰雄(ほりたつお 1904〜1953)作家。「風立ちぬ」。結核。
坂口安吾(さかぐちあんご 1906〜1955)作家。脳溢血。
山下清(やましたきよし 1922〜1971)画家。脳溢血。
竹久夢二(たけひさゆめじ 1884〜1934)画家。肺病。
牧野省三(まきのしょうぞう 1878〜1929)映画製作者。日本映画の父。結核。
美空ひばり(みそらひばり 1937〜1989)歌手。「東京キッド」。肺炎。
野口英世(のぐちひでよ 1876〜1928)細菌学者。アフリカで黄熱病に取り組み、自ら感染。
三波伸介(みなみしんすけ 1930〜1981)コメディアン。てんぷくトリオ。
向田邦子(むこうだくにこ 1929〜1981)エッセイスト。「思い出トランプ」。飛行機事故。
有吉佐和子(ありよしさわこ 1931〜1984)作家。「恍惚の人」。死因不祥。
巖本真理(いわもとまり 1926〜1979)バイオリニスト。乳ガン。
天知茂(あまちしげる 1931〜1985)俳優。クモ膜下出血。
立原正秋(たちはらまさあき 1926〜1980)作家。「薪能」。食道ガン。
大川橋蔵(おおかわはしぞう 1929〜1984)俳優。「銭形平次」。結腸ガン。
萩原愬太郎(はぎわらさくたろう 1886〜1942)詩人。「月に吠える」。
双葉山(ふたばやま 1912〜1968)元横綱。69連勝。激症肝炎。
越路吹雪(こしじふぶき 1924〜1980)歌手。胃癌。
立川清登(たちかわすみと 1929〜1985)歌手。
寺田寅彦(てらだとらひこ 1878〜1935)物理学者。随筆家。
北原白秋(きたはらはくしゅう 1885〜1942)詩人。随筆「雀の生活」。腎臓病。
大松博文(だいまつひろぶみ 1921〜1978)バレーボール監督。心筋梗塞。
種田山頭火(たねださんとうか 1882〜1940)俳人。松山市の一草庵で心臓麻痒。
溝口健二(みぞぐちけんじ 1898〜1956)映画監督。「雨月物語」。血液ガン。
中川一郎(なかがわいちろう 1925〜1983)政治家。通称「北海のクマ」。自殺。
山本五十六(やまもといそろく 1884〜1943)海軍軍人。機上戦死。
中里介山(なかざとかいざん 1885〜1944)作家。「大菩薩峠」。腸チフス。
五味康祐(ごみやすすけ 1921〜1980)作家。「柳生武芸帳」。肺ガン。
森鴎外(もりおうがい 1862〜1922)作家。軍医。「舞姫」。萎縮腎。
菊地寛(きくちかん 1888〜1948)作家。「父帰る」。狭心症。
谷内六郎(たにうちろくろう 1921〜1981)漫画家。「週刊新潮」の表紙画を描く。急性心不全。
川上宗薫(かわかみそうくん 1924〜1985)作家。「赤い月」。ガン。
宮城道雄(みやぎみちお 1894〜1956)箏曲家。「春の海」。列車から転落死。
森雅之(もりまさゆき 1911〜1973)俳優。「雨月物語」。直腸ガン。
豊田佐吉(とよださきち 1867〜1930)企業家。自動織機を発明。急性肺炎。
与謝野晶子(よさのあきこ 1878〜1942)歌人。「みだれ髪」。脳溢血。
東条英機(とうじょうひでき 1884〜1948)陸軍軍人。死刑。
大河内伝次郎(おおこうちでんじろう 1898〜1962)俳優。「丹下左膳」。胃癌。
山本周五郎(やまもとしゅうごろう 1903〜1967)作家。「青べか物語」。肝炎。
広沢虎造(ひろさわとらぞう 1899〜1964)浪曲家。「清水次郎長伝」。脳溢血。
菊田一夫(きくたかずお 1908〜1973)劇作家。「君の名は」。脳溢血。
泉鏡花(いずみきょうか 1873〜1939)作家。「高野聖」。ガン性腫瘍。
池田勇人(いけだはやと 1899〜1965)政治家。咽喉ガン。
擾本健一(えのもとけんいち 1904〜1970)喜劇俳優。「孫悟空」。肝硬変。
花森安治(はなもりやすじ 1911〜1978)ジャーナリスト。「暮しの手帖」の編集。
安井曾太郎(やすいそうたろう 1888〜1955)洋画家。肺炎。
河野一郎(こうのいちろう 1898〜1965)政治家。腹部大動脈瘤の破裂。
壷井栄(つぼいさかえ 1900〜1967)作家。「二十四の瞳」。喘息の持病、副腎萎縮。
田中絹代(たなかきぬよ 1909〜1977)俳優。映画「山淑太夫」出演。脳腫瘍。
池田弥三郎(いけだやさぶろう 1914〜1981)国文学者。肝硬変。
田岡一雄(たおかかずお 1913〜1981)山口組三代目組長。急性心不全。
高橋掬太郎(たかはしきくたろう 1901〜1970)作曲家。「酒は涙か溜息か」。
内村鑑三(うちむらかんぞう 1861〜1930)キリスト教徒。「キリスト教徒の慰め」。心臓肥大。
円谷英二(つぶらやえいじ 1901〜1970)特撮監督。「ゴジラ」。狭心症。
吉川英治(よしかわえいじ 1892〜1962)作家。「宮本武蔵」。肺癌。
大宅壮一(おおやそういち 1900〜1970)評論家。「低脳教授列伝」。腎不全。
サトウハチロー(本名:佐藤八郎 1903〜1973)詩人。「悲しくてやりきれない」。急性心不全。
太平正芳(おおひらまさよし 1910〜1980)政治家。心筋梗塞。
江戸川乱歩(えどがわらんぽ 1894〜1965)推理作家。「人間椅子」。パーキンソン氏病。
柳家金語楼(やなぎやきんごろう 1901〜1972)喜劇俳優。「おトラさん」。胃癌。
山岡荘八(やまおかそうはち 1907〜1978)作家。「徳川家康」。ホジキン氏病。
笠置シヅ子(かさぎしずこ 1914〜1985)歌手。「東京ブギウギ」。卵巣がん。
棟方志功(むなかたしこう 1903〜1975)版画家。肝臓がん。
五島昇(ごとうのぼる 1916〜1989)東急グループ総帥。呼吸不全。
水原茂(みずはらしげる 1909〜1982)野球監督。胃潰瘍。肝硬変。
朝永振一郎(ともながしんいちろう 1906〜1979)物理学者。1965年ノーベル物理学賞。気管のガンから出血。窒息死。
川端康成(かわばたやすなり 1899〜1972)作家。ノ−ベル文学賞。ガス自殺。
高嶋象山(たかしましょうざん 1886〜1959)易者。ノイローゼ青年に刺殺される。
東海林大郎(しょうじたろう 1898〜1972)歌手。「赤城の子守唄」。結腸がん。
湯川秀樹(ゆかわひでき 1907〜1981)理論物理学者。念性肺炎。心不全。
長谷川一夫(はせがわかずお 1908〜1984)俳優。出演映画301本。脳血栓。
出口王仁二郎(でぐちおにさぶろう 1871〜1948)宗教家。「霊界物語」。脳溢血。
嵐寛寿朗(あらしかんじゅうろう 1903〜1980)俳優。「鞍馬天狗」。心不全。
河口慧海(かわぐちえかい 1866〜1945)仏教徒。「西蔵旅行記」。脳溢血。
谷崎潤一郎(たにざきじゅんいちろう 1886〜1965)作家。「細雪」。腎孟炎。
今東光(こんとうこう 1898〜1977)作家。「お吟さま」。結腸がん。
武見太郎(たけみたろう 1904〜1983)元日本医師会会長。宵癌。
東郷青児(とうごうせいじ 1897〜1978)洋画家。心不全。
中野好夫(なかのよしお 1903〜1985)翻訳家。肝臓がん。
田中美知太郎(たなかみちたろう 1902〜1985)哲学者。「ロゴスとイデア」。
羽仁もと子(はにもとこ 1873〜1957)教育者。「自由学園」を創立。
柳田国男(やなぎだくにお 1875〜1962)民俗学者。「遠野物語」。老衰。
加藤唐九郎(かとうとうくろう 1898〜1985)陶芸家。心筋梗塞。
富岡鉄斎(とみおかてっさい 1836〜1924)日本画家。胆石の発作。
横山大観(よこやまたいかん 1868〜1958)日本画家。肺炎
渋沢栄一(しぶさわえいいち 1840〜1931)民間経済指導者。設立に関与した企業は第一銀行ほか600余り。直腸がん。
松下幸之助(まつしたこうのすけ 1894〜1989)松下電器の創始者。肺がん。
御木本幸吉(みきもとこうきち 1858〜1954)真珠玉。老衰。
鈴木大拙(すずきだいせつ 1870〜1966)宗教家。禅を西洋に紹介。腸閉塞。
梅原竜三郎(うめはらりゅうさぶろう 1888〜1986)洋画家。
諸橋轍次(もろはしてつじ 1883〜1982)中国語学者。「大漢和辞典」。老衰。
野上弥生子(のがみやえこ 1885〜1985)作家。心不全。
泉重千代(いずみしげちよ 1865〜1986)長寿世界一記録保持者。痰を詰まらせ死亡。
縄文時代の寿命は、日大の小林教授の研究にもとづいて菱沼氏が作成した生命表によると、男女とも14.6歳であるという。縄文時代は約7000年の幅を持っているが、その間死亡率は改善されなかったという。弥生時代、古墳時代にはいっても、縄文と殆ど違いがないといっている。室町時代では、菱沼氏の推定では15.2才であるという。
昭和30年に深川から、江戸時代のものと思われる人骨が200体以上発見された。この人骨を調査した結果、平均死亡年令は男子45.5歳、女子40.6歳であるという。また小林教授は長野県の宗門帳にもとづいて「江戸時代農村住民の生命表」を作成している。それによると平均寿命は、男子が36.8歳、女子が26.5歳である。我が国の平均寿命が20歳を超えたのは、江戸時代の中期にはいってからという。後期になっても、感染症、戦争、飢鐘、地震、火災などの要因によって中期以降も20歳そこそこであるという。
明治時代では明治13年 1880)に男女とも30歳の関門を突破し、大正に人って初めて男女とも平均寿命が40歳を超えたのである。昭和56年男子73歳、女子78歳となり、菱沼氏は人類の平均寿命の限界値を男子77.4才、女子81.7歳としている。ちなみに昭和62年の平均寿命は男子75.6歳、女子81.4才である。
(資料『寿命』女子栄養大学出版部)